ストーリーというのを、じゃぁちょっと考えてみようと。
女性というものに対する自分の感覚、何となく感じている物を漠然と感じている物を言葉にしていこうと思いまして、作ったのがまずEDELWEISSプログラムという物語でした。 この会場にもたくさん見開きの本が飾ってありますが、これがそうです。
これを書き始めたのが2000年ぐらいからだんだんこう後ろに展示してありますがスケッチやメモ書きなんかをためて行きまして、作っていきました。
2000年といいますと、どういう時代だったかといいますと、丁度コギャルブームの後ぐらいですね。
マツモトキヨシというドラッグストアがありますが、そこへ女子高生がダーっと行って化粧しまくると。油性マジックでアイラインを引くみたいなね。 そういうこともやっていたみたいな時代だったんですが。これが凄い面白いなぁと思いまして。一つ女とは何かというテーマの中に化粧というのがありまして、男の人は化粧しませんが女性は必ず化粧をしますねばっちり。それが凄く面白いなと思いまして。阿部公房が「化粧とは最低限体に害のない石油化合物である」という風に書いておりますが、基本身体に良くないはずですね化粧は。それを女性はします。かつ、卒業制作が妊婦のロボットだったように、一方で化学薬品に絶対触れてはいけない子供を作るという神聖な部分も持っている。で、それが一言で言うと教会に例えると、教会の外壁はもうデコデコに装飾をしていろんな物取りつけるのに、中に入ると神聖な聖堂があるという様なイメージに勝手にポエティックな脳がこういう風に思いこんだんですね。
そのイメージがありまして、そのきっかけになったマツモトキヨシという、いわゆる薬品がどーっと並んでいるドラッグストアからヒントを得まして、マツモトキヨシの略はマツキヨなので、終末の東京という感じを当てれるなと思い、『末京』という舞台にしようと決めました。
皆さんの後ろのライトがありますが、上にぶら下がっているものがカーテンの間にありますが、あれが『末京』の女の都のジオラマになります。

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どういう都かといいますと、女性が好きな服や化粧品やアクセサリーがバンバン作れる、手に入れる事が出来るという都になっています。中央に根っこの様にあるところが、石油ですね、オイルという風に僕は呼んでいますが、汲み上げる中央塔がありまして、がーっと。で、精製しながら最終的に最上階ではオイルが精製されます。それが裾野にバーっと運ばれるんですね。で、6つの都の町になっていますが、そこへそのオイルが運ばれそのオイルをもとに『プランター』という装置が様々なアクセサリーや服や化粧品などをばんばん作るんですね。そのプランターという装置は女性の部屋一個一個に必ずある。で、女性は好きな物、自分の欲しいものを欲しい時にそのプランターで作るんですが、女性の部屋には鏡というものがありまして、プランターはその鏡につながっています。女性はその服とかをプランターから作ってきて鏡の前に立つとその情報をすぐ他の鏡にドーッと流れていきますので、女性雑誌のカタログのような感じで鏡は他の人の姿も見える様になっていまして、あ、あれが欲しいと思ったらすぐにそれをプランターで作れるという魔法の様な機械を持ってるんです。
ばんばん作るということは今度バンバン捨てなければなりません。これが消費なんですが、その時に今度『デリーター』という洋式トイレの形をした機械なんですが、服を着てすぐ飽きたらそこにポーンと捨てます。ばんばん捨てます。そうするとそのデリーターという機械も全てつながっていましてその先端に都の一番先端に運ばれます。化粧品やアクセサリーや服をどんどん運んで行って都の一番端に大砲があるんですね。6門大砲がありまして、その大砲がゴミを処理するんじゃなくてドーンと外に打ち出すんです。で、そのゴミを捨てる。なので、末京の周りには女性の捨てた服やアクセサリーや化粧品のゴミの砂漠がバーっと広がっているというイメージになります。
これを思いついたのは2000年のときに閃いて描いたんですが、結果今の時代ってそれに凄く近づいてきてるなと今思います。
例えば3Dプリンタをみなさんご存じでしょうか。プラスチックをモーターで制御してビャーっとだして好きな物を作れる機械というものが昨年あたりから非常にブームになってきていまして、おそらく印刷のプリンターの様に今後普及して行くと思います。皆さんプラスチックの物って家の中に持っていると思うのですが、これまで皆さんが持っていたプラスチックというのは工業製品ですのでとてもよく出来てるんですね。いびつな物は一つもなかったんですが、これからは各家庭にプラスチックを射出する機械がどんどん入ってきますので、失敗作品もたくさん出てくるんですね。ゆがんだプラスチックがどんどん素人が作ったプラスチックが出てきます。なので、皆さんみたことのない不細工なものがプラスチックに関してはどんどん出てくると思います。で、それが非常にプランターに似ていると思いますね。で、そのプランター、鏡につながっているんですが、鏡というのはネットワークです。ZOZO TOWNって皆さん使ってます?ネットで服を買うことが非常に多いと思うのですが、2000年にはそういうものはほとんどなかったんですが急激にここ最近そういうものが増えてきております。ですので、今コストがかかりますが、コストがかからない好きな物をどんどん手に入れて作れるという時代の典型的なモデルとして末京というのを考えました。ゴミ問題は今も非常に問題なので大砲で打ち出したらもう捕まってしまいますけども、そういうものを考えました。
で、そこは女の都ですので女性が物凄く強い。どんどん強くなって華々しくなっていくんですが、オスたちは脆弱 。凄く弱くなってメスの奴隷として働いている国になっています。その国に住んでいる主人公『ボク』という名前をつけていますが、ボクという主人公が様々な女性感をテーマにした行動をするというのがこのEDELWEISSの物語になっています。
読まれた方は非常に、内容的に凄く、何といいますか性的な表現があったりグロいと言いますか残酷なシーンなどもあり、なかなか子供に聞かせるのは非常につらいなぁという物語の内容になっております。
昨日はそれを朗読するというイベントだったのですが、やはり子供がその中に観客として居て、うわぁどうしようと思ったのですが、意外と真面目に聞いてましたね(笑)。あとでこう、あぁと思うんでしょうかね大人になったときに。小さい時に手塚治虫のアニメのアラビアンナイトというのを何も知らずにお兄ちゃんとテレビ見た時あまりにアダルトでびっくりしたことがあるんですが、そんな感じじゃなかったかなと思いますね。

で、その末京を舞台にした物語、6つのシーンに分かれております。 
イントロダクションという章、そして末京、都の説明の章。そして4つの主人公の物語。この6つになります。
後ろに6枚の花の模様がありますが、これが物語の6つのストーリーと関係しています。

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EDELWEISSの物語というのは6という構造が非常にあちこちにあるんですが、『ボク』の物語もそれぞれがまた6つのチャプターからなっていると。全部6で構成されています。
 
続く。。。